8月12日の午後、
ふいに「チリン…チリン…」と鈴の音が聞こえてきました。
それは短い音ではなく、しばらくの間続いていました。
家の中にいた猫も耳をぴくりと動かし、じっと外を見ています。
不思議に思って外をのぞいても、
人の姿はなく、いつも通りの静かな景色。
それでも鈴の音は途切れません。
ふと気づくと、
庭には二羽のアゲハチョウが舞っていました。
黒と黄色の羽をひらひらと揺らし、
まるで誰かを探すように庭を飛び回っています。
「もしかして…夫の父母?」
そんな考えがふっとよぎりました。
お盆は明日からのはずなのに、
少し早めに帰ってきたのかもしれません。
「せっかちだなあ」と、心の中で微笑みました。
やがて鈴の音は静かに消え、
蝶の姿も見えなくなっていました。
本日、お盆の入り──お墓参りで出会ったカラスアゲハ
今日はお盆の入り。
お墓参りに出かけました。
義母の実家のお墓に手を合わせていると、
一羽の大きなカラスアゲハが、一直線に私たちの方へ飛んできました。
その姿を見て、
「義母も一緒にお参りしてくれているのかもしれない」と、
胸の奥が温かくなりました。
帰り道、緑のいがぐりや、色づき始めた稲穂を見かけました。
夏から秋へ、季節が少しずつ移り変わっていることを感じます。
お盆に感じること
お盆は先祖や大切な人の魂が帰ってくる時期。
今年は、鈴の音や蝶との出会いを通して、
いつもより近くにその気配を感じられた気がします。
季節の変わり目、自然の中での小さな出来事が、心に深く残りました。