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丙午の年に、祖母の名前を知る

 今年は丙午(ひのえうま)の年。

「燃え盛る火の年」「隠れていたものが明るみに出る年」と書かれた記事を読みました。

どれだけ取り繕っても、本質は表に出る。
少し怖いけれど、どこかで納得している自分もいました。

なぜなら、私にも“明るみに出たこと”があったからです。


祖母の名前を、初めて尋ねた日

母方の祖母は、40代で亡くなっています。
私にとって祖母は、仏壇の中の写真の人でした。

優しそうな微笑み。
けれど、名前をきちんと聞いたことはありませんでした。

ある日、ふと母に尋ねました。

「おばあちゃんの名前って、何ていうの?」

そこから、ぽつりぽつりと、話が始まりました。


私が勤めていた病院

祖母が亡くなったのは、ある病院。
そして――

その病院は、私が看護師として長く勤めていた場所でした。

背筋が少し伸びる感覚がありました。

知らずに選んだ就職先。
けれど、もしかすると、何かの縁だったのかもしれない。

偶然と言えば偶然。
でも、ただの偶然で片づけられない感覚が、胸の奥に残りました。


「あなたは、おばあちゃんによく似ている」

母は言いました。

「あなたは、おばあちゃんに本当によく似ているのよ」

顔立ちだけでなく、雰囲気や気質も。

隔世遺伝かもしれないね、と笑いながら。

私は祖母を知りません。
けれど、私の中に祖母が流れているのだとしたら。

看護師という道を選んだこと。
人の最期や、その家族の気持ちに深く関わってきたこと。

もしかすると、祖母の人生の続きを、
どこかで私が生きているのかもしれない。


明るみに出るということ

「丙午は、本性が表に出る年」

怖い言葉のようでいて、
私は少し違う意味で受け取りました。

隠していた“悪いもの”だけでなく、
忘れていた“大切なもの”も、表に出るのではないか。

祖母の名前を知ったこと。
祖母が亡くなった病院で働いていたと知ったこと。
似ていると言われたこと。

それは、私のルーツが
静かに輪郭を持ちはじめた出来事でした。


火は、照らすものでもある

燃え盛る火は、確かに強い。
けれど、火は同時に「照らす」ものでもあります。

私の知らなかった家族の物語を照らし、
自分の中にある何かを、浮かび上がらせる。

今年は、そんな年なのかもしれません。

祖母の名前を、心の中でそっと呼んでみる。

私の中に流れているものを、
もう少し大切にしてみようと思います。

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